米国人医師アーロン・スタイメル氏にとって、ザ・グリーンライオンを通じてフィリピンで医療ボランティアを行うことは、まったく異なる環境で医療を実践する機会となりました。ティグマンという小さな村で彼が遭遇したのは、本国では珍しいデング熱、マラリア、結核といった疾患でした。しかし、彼がそこで発見したのは、病気の治療だけにとどまらないものでした。

「ここの患者さんの多くは医療費を払う余裕がなく、本当に必要な時だけ助けを求めます」とアーロン氏は語ります。「中には、一度も血液検査を受けたことのないお年寄りもいました。これは私が慣れている環境とは異なります。本国では通常、年に一度、あるいはもっと頻繁に血液検査を受けますから。」

村の診療所で、アーロン氏は限られた資源で働くという課題に直面しました。アモキシシリン、セファレキシン、ドキシサイクリンの3種類の抗生物質しかない状況で、彼は患者の病歴を深く掘り下げ、身体診察に頼って診断を下さなければなりませんでした。

「以前の血液検査や診断データに簡単にアクセスできませんでした。複数の症状に効く薬を処方しなければならなかったのです」と彼は説明しました。

往診中にアーロン氏がよく耳にした訴えはめまいでした。本国であれば、CTスキャン、MRI、血液検査など広範な検査が必要となるでしょう。しかし、ティグマンでは唯一のCTスキャン機械がプエルトプリンセサまで何時間もかかる場所にあり、ほとんどの住民には費用を払う余裕がありませんでした。

「熱による脱水症状が最も可能性が高いと考えるしかありません。そして、患者には水分補給を増やすように勧め、脳卒中でないことを願うのです」と彼は言いました。

アーロン氏はまた、深い影響を与える痛ましい症例にも遭遇しました。中年の女性が神経経路を圧迫する脳腫瘍を発症し、視力と聴力を失っていました。家族はマニラでの手術が助けになるかもしれないと告げられましたが、その費用は100万ペソ（約280万円）で、彼らにとっては不可能な金額でした。

困難に直面しながらも、アーロン氏はコミュニティの強さと寛大さに驚かされました。赤ちゃんが大やけどを負った際、近所の人々が協力して寄付を集め、家族が治療費をまかなえるようにしたのです。

「地域の人々が家族に寄付をしてくれたおかげで、赤ちゃんは必要な治療を受けることができました。彼女は病院を退院し、順調に回復しています」とアーロン氏は語りました。

アーロン氏にとって、この経験は、人々に真に寄り添うことの意味を強く再認識させるものでした。それは単なる医療ではなく、人とのつながりや思いやりについてでした。ティグマンの人々は、逆境に直面しても笑顔を絶やさず、互いに支え合っていました。

「村を歩き回ることで、ここの人々の暮らしぶりを理解できました。多くは農家で、自分たちで食料を育てています。それにもかかわらず、彼らはいつも笑顔で、幸せそうに見えました」と彼は言いました。

アーロン氏は、彼の経験を思い出深いものにしてくれたザ・グリーンライオンの医療チーム、グローリー、MJ、エイプリルに感謝の意を表しました。

「ここの人々は私たちのケアにとても感謝しており、最も困難な病気であっても笑顔を絶やしませんでした」とアーロン氏は語りました。

アーロン氏は、医師であることの意味について新たな視点と、ティグマンの人々の強さへの深い尊敬の念を抱き、村を後にしました。彼は教えるだけでなく、優しさ、勇気、そしてコミュニティの力について重要な教訓を学んだのです。